2019/03/08
[長岡純便り vol.19] イクメン いまむかし

先日、電車の向かい側の席に、
赤ちゃんを抱っこひもに入れたパパが
ひとりで座っていた。
巷に言う イクメン?
調べてみると、
イクメンとは、
単純に育児中の男性というより「育児休暇を申請する」「育児を趣味と言ってはばからない」など、積極的に子育てを楽しみ、自らも成長する男性を指す。(知恵蔵)
とある。
なるほど…。
「自らも成長する男性」の所が私の目を引いた。
子育ては、たとえれば、初心者サーファーの波乗りのよう。
寄せては返す波のように、
次々とやって来るままならないことに、
必死に対処し乗り切りながら、
ふと気づくと赤ちゃんだった我が子が
いつの間にか大人になっている。
波頭にかっこよく立てることは稀で
年がら年中、波の中でもまれ、流され、
アップアップしてばかり。
そうやって子供に成長させてもらう。
向かい側のパパの大きな胸にチョコンと、
まあるい赤ちゃんの小さな背中が
一層かわいらしく見えて、
こちらもにっこり。
いや、にっこりどころか、
気づけばニヤニヤしながらじいっと見とれる私。
これではアヤシイおばさんだ(笑)
この光景を見て思い出したのは、
娘たちが赤ちゃんだった20年ほど前のこと。
ある晴れた日のこと。
娘をおんぶ紐でおぶった夫が庭に出ていたら、
夫の姿にビックリした、
当時中学生のお向かいのお嬢さんが、
家の中に向かって叫ぶのが聞こえた。
「えーっ、男なのに赤ちゃんおんぶして、みっともな~い!」
確かに当時、赤ちゃんをおんぶしたパパは
珍しかったし、
一般に子育ては母親がするもの、
という考えも今よりも根強かったが、
彼女の口から「みっともない」という言葉が出る
背景にはいろいろあったのだろう。
その言葉に私は心底驚いた。
当時、夫にも私にも、
パパが赤ちゃんをおんぶすることに対する抵抗は
全くなかった。
夫はおんぶで娘たちを寝かしつけることもよくあった。
おんぶの効果は絶大で、
娘たちはイチコロ(笑)で寝てくれたものだ。
今は、いい時代になったなあ。
私は、向かいの席の、
パパの胸ですやすや眠る赤ちゃんを見ながら思った。
ずっと前に引越してしまったけど、
あの時中学生だったお向かいのお嬢さんは、
今頃どこで何をしているのかな。
もしかしたら、
結婚してお母さんになっているかもしれないな。
だとしたら、彼女とそのご主人は、
どうやって赤ちゃんを育てたのかな。
そこのところ、
なんだかちょっとのぞいて見たくなった。